ビザ(査証)と在留資格はどう違うの?

 海外に行かれたことのある方や、そうでない方も一度は「ビザ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
「ビザ」と聞くとどんなイメージが沸きますか? 外国に行くときに必要なものでパスポートのようなもの?と思われるかもしれません。

 一方、「在留資格」という言葉は聞いたことがありますでしょうか?身近に外国人がいる方は耳にしたことがあるかもしれませんが、聞いたことがないという人も多いでしょう。

 実は、この「ビザ」と「在留資格」という二つの言葉ですが、どちらも外国人の方が日本に入国する際に必要なものなのです。

 ではどう違うのか? 「日本に行きたい!!」と思っている外国人になったつもりで読んでください。




在留資格とは

 外国人であるあなたが、日本に滞在して活動するには、在留資格というものが必要になります。換言すると、日本にいる外国人の方は、何かしらの在留資格を持って日本に滞在していることになります。

 この在留資格は全部で29種類あり、それぞれの在留資格には、日本で行える活動が定められています。

 例えば、「医療」という在留資格では、「医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動」と活動内容が定められています。

 つまり、あなたが医師や看護師等の医療従事者として日本で働く場合には、この「医療」という在留資格を得なければ日本に入国し滞在することが出来ません。

 このように在留資格は、外国人の方が日本に入国し滞在するだけでなく、日本で活動しようとする場合に必要となる法的資格であると言えます。


 

在留資格はどのように取るの?

 在留資格に関する事務は法務省が管轄しています。具体的には、法務省の外局である「出入国在留管理庁」が事務を担当しています。

 この出入国在留管理庁に「在留資格認定証明書交付申請」をして審査を受け、無事に審査を通過すると在留資格を得ることが出来ます。(在留資格認定証明書交付申請について、詳しくは こちら をご覧ください)

 在留資格を得ることができた場合は、「在留資格認定証明書」と呼ばれる証明書が交付されます。証明書の中にある在留資格の欄に得ることができた在留資格が記載されています。

 ※「日本で短期間滞在して行う、観光や保養、スポーツ、親族の訪問等」を目的とする「短期滞在」と呼ばれる在留資格の場合は、在留資格認定証明書の交付を受ける必要はありません。(入管法第7条の2第1項かっこ書き) なお、ここで言う「短期間」とは90日以内のことを指します。

在留資格認定証明書の例(東北大学TU Supportホームページより引用)

 



 「在留資格認定証明書交付申請」をして審査に通過すると、図のような「在留資格認定証明書」が交付されます。


 「在留資格認定証明書」の中に在留資格という欄がありますが、そこに記載されているものが、得ることができた「在留資格」になります。


 この例の場合では「留学」という在留資格を得ることができたことになります。


 外国人の方が、日本の大学等の教育機関に勉強のために留学する場合は、この「留学」という在留資格を得なければなりません。

ビザ(査証)とは

 「ビザ(査証)」は、いわば日本に入国するための推薦状のようなものであり、日本入国の条件として、有効なビザ(査証)を取得していることが求められます。

 ビザ(査証)に関する事務は外務省が管轄しており、具体的には、各国にある「日本国大使館又は総領事館(以下「在外公館」という。)」がビザの発給事務を担当しています。

 なお、在留資格と同様に「観光、商用、知人・親族訪問等90日以内の滞在で報酬を得る活動をしない」ことを目的とした短期滞在の場合で、査証免除国に掲げる国籍の方は、ビザ(査証)の取得を免除されています。(査証免除国は こちら をクリック)

ビザ(査証)の申請方法

 必要書類を揃えて、居住地(住んでいる国)にある在外公館へ行き、査証(ビザ)発給申請をします。アメリカに住んでいる方でしたら、アメリカにある日本大使館等へ行き申請することになります。 (各国にある在外公館は こちら をご覧ください)

<必要書類>
 ・旅券(パスポート)
 ・査証申請書
 ・写真
 ・その他必要な書類(申請する査証の種類によって求められる書類が異なります。)
 ・在留資格認定証明書 ※注1

 在外公館で査証申請の内容を審査し、審査が無事に終了すると査証(ビザ)が発給されます。査証(ビザ)は旅券(パスポート)の「査証欄」にスタンプで押印されるか、シールを貼り付ける形で発給されます。

 この査証(ビザ)が発給されることで、日本政府から初めて、日本入国へのお墨付きが得られることになるのです。

査証(ビザ)の例(東北大学TU Supportホームページより引用)

 ※注1 在留資格認定証明書は、査証(ビザ)発給申請の必要書類ではありません。しかし、次の2つの理由から、査証(ビザ)発
    給申請前に取得のうえ、在外公館に提示することを推奨いたします。

 理由1 査証発給申請の際に必要とされる疎明資料の省略と審査にかかる時間短縮のため。
  (1)査証規則4条(査証区分)1項は・・・・・そして、別表第2(就業査)は就業査証(技能)の処理要領として、提出書類欄に  
  は、査証申請書、写真、疎明資料(在留資格認定証明書を提示する場合は,原則として在留資格認定証明書の写し1部のみで差し  
  支えない

  (2)査証規則7条(審査)1項は、・・・・・7条3項は、別表第2の提出書類欄に定める在留資格認定証明書を所持する者からの 
  申請については,原則として同条1項3号に適合しているかどうかについての疎明資料の提出を求めない旨を定めている。

 理由2「在留資格認定証明書を得てから査証発給申請をするよう」行政指導され、査証発給申請が受理されない場合もあるため。
  

旅券(パスポート)とは

 旅券(パスポート)とはいわば、世界で通用する国際的な身分証明書です。氏名・生年月日、国籍などを証明するもので、言葉の通じない海外でも旅券(パスポート)を呈示することで、自分が何者であるかを証明できる手段と言うことができます。

 身分を証明すること以外にも、万一何かがトラブル等が起こった際に、渡航先の政府に対して必要な保護と援助を与えるよう要請する重要な公文書としての役割もあります。

 旅券(パスポート)は、次のようなときに必要とされ、常に携帯することが義務付けられています。
 ①空港等での出入国審査を受けるとき
 ②ビザ(査証)を申請するとき
 ③国際線の飛行機搭乗時や、外国のホテルにチャックインするとき
 ④トラベラーズ・チェックを使用すいるとき
 ⑤外国で警察官等から身分証明書の呈示を求められたとき

まとめ

 これまで見てきたとおり、外国人の方が日本に入国する場合には、①「在留資格」②「査証(ビザ)」③「旅券(パスポート)」の3つが必要であることがお分かりいただけたかと思います。


STEP1 まずは、旅券(パスポート)を取得 + 在留資格認定証明書の交付を受けることで「在留資格」を得る。
                         ⇩
STEP2 次に、旅券(パスポート)と在留資格認定証明書を持って在外公館へ行き、「査証(ビザ)」の発給申請をする。
                         ⇩
STEP3 在外公館から、査証(ビザ)が付いた旅券(パスポート)と在留資格認定証明書を受け取る。
                         ⇩
STEP4 STEP3で受け取った、査証(ビザ)が付いた旅券(パスポート)と在留資格認定証明書を持って日本に入国する。

 といった流れで日本に入国することになります。

<行政書士がお手伝いすること>

 行政書士は、この一連の入国の流れの中で、主に「在留資格」の手続きで皆さまをサポートいたします。

 具体的には、在留資格を取得する「在留資格認定証明書交付申請」や、その後の在留期間更新する「在留期間更新許可申請」、さらには認められた在留資格を変更する際に必要な「在留資格変更許可申請」等を皆さまに代わり申請し、手続きを進めて参ります。

 「在留資格」の取得や期間の更新及び変更には、「出入国管理及び難民認定法」に様々な要件が定められており、日本語に不慣れな外国人や法律に馴染みのない方には困難な場合が多いことから、専門家である行政書士に依頼するケースが多くなっております。
(それぞれの要件など、詳しい説明は こちら をご覧ください)

 お困りのことがありましたら、当事務所にお気軽にお問合せください。